09 グループホームほのぼの 介護職員 テラさん

京福会で10年働き、退職。
その半年後、復職。


短い期間の中で、大きな覚悟を持った2回の決断。
心の葛藤や変化、今の心境とは…。



理容の世界から、介護の世界へ。


オープニングスタッフとして入職した京福会の施設を10年働いて退職。

自分自身を見つめ直すために辞めた直後、コロナに邪魔されて行動ができなかった。

しかし、行動は邪魔されたが、考える時間を多く与えられた。


そして今、京福会に再就職し、毎日が楽しいと話してくれた。




‐‐理容の仕事をしていたようですが、なぜ介護の仕事に興味を持たれたのですか?


「興味を持ったきっかけはいくつかありますね。理容学校に通っている時に高齢者疑似体験をする機会があったので、それが印象に残っています。高齢者になるとこんなに体が不自由になるのかと感じた時、自宅で母親が祖母の介護をしているのを見て、これを仕事にしている人たちは、困っている人を直接助けることができるんだな、社会に貢献していると感じることができるんだろうなって思いました。

 あとは親戚で介護の仕事をしている人がまわりに多かったので、身近な仕事として自分の中にはあって、大変そうという印象も無かったのもあります。

 理容の仕事をずっと続けるには不安がありました。流行を追いかけないといけない、休みが固定されてしまう、時間外で練習しないといけないとか。

その時、おばあちゃんが通っていたデイサービスの職員さんがとても楽しそうに仕事をしていたんです。きっとその方もそれなりに不安や心配を抱えているはずなのに、それを上回るやりがいや楽しさがあるのかなって思いました。あとは、福祉の世界は幅が広いから、色々選択肢があるなと感じたんです。」


‐‐いろいろなきっかけがあったのですね。福祉の世界は幅が広いというのは、どういうことですか?


「高齢者福祉もあるし、障がい者福祉もありますよね。高齢者福祉の中でもデイサービスとか特養とか。

自分の中で資格を持つということにも強いこだわりがあったので、理容師免許という国家資格を持っていましたが、介護福祉士という国家資格を取りたいって強く思いました。

 で、理容の世界から介護の世界に。地元の那須で特養のオープニングスタッフを募集していたので、京福会に就職しました。10年働いて辞めちゃいましたけど。」


‐‐なぜ、辞めてしまったのですか?


「10年やって、自分自身を見つめ直したかったんです。一度きりの人生だからと、新しい世界に踏み込もうという考えもあったのですが、この後に新型コロナウイルスが世界的に大流行してしまって、やりたいことは多くあったのに行動が制限されてしまって。

どうしようかなって考えていた時に、京福会で働いていた頃を振り返る機会が多くありましたね。楽しかったこととか、もっとこうしたらうまくいったんじゃないかっていう後悔とか、頭の中をぐるぐるしてて。その中で気付いたのは、今まで色々仕事をしてきたけれど、今までの仕事に比べて介護の仕事を思い出すと、成功体験とか良い思い出とかの方が多いなって気付いたんです。辞めたけど、興味が無くなることはなかったんですよね。

数カ月休んで、やっぱり働くなら介護の仕事だって結論に至り、他社の求人とか説明会とかに参加しました。でも、お給料とか福利厚生とかを比較すると、京福会がやっぱりいいなって。で、京福会に戻ってきました。」


‐‐一度退職した法人に戻るという決断は、とても勇気のいるご決断だったのではないですか?


「本当にその通りで、戻っていいのかという後ろめたさはありましたよ。でも、それ以上に戻りやすい雰囲気があったと思います。辞めた後も連絡をくれる職員さんが多かったし、以前お世話になった施設長さんたちも連絡を下さったりと、気にかけて下さいました。辞めた後にケアマネジャーの資格を取る試験が控えていたんですけど、辞めた後なのにその施設長さんは試験の相談に乗ってくれて。戻りたいって考えていたタイミングで、また一緒に働かないかって連絡を下さったんです。それで戻ることになって、とても感謝しています。」


‐‐京福会に復帰され、特養からグループホームへと働く施設が変わりましたね。環境を変えて、意識したことはありますか?


「辞めた後に頭の中をぐるぐるしていた、もっとこうしたらうまくいったんじゃないかっていうことにチャレンジしようと意識しました。10年働いた施設でずっとお世話になっていた主任がいるんですけど、職員との関わり方がとても上手で、自分もいっぱい助けられました。その主任は自分に対してもそうでしたけど、とにかく職員によく声を掛けていて、さり気ない会話の中で不安に気付き、それを取り除いてあげていました。年齢差がある職員も多い中で、誰に対しても自分をさらけ出して安心を与え、コミュニケーションを取っていました。自分はそれが苦手だったので、真似して取り入れましたね。元々自分はネガティブですけど、ポジティブなメッセージを与えるように意識し、コミュニケーションの機会を増やしました。あとは、新しいことへのチャレンジから逃げていたので、色々なことにチャレンジしようと。」


‐‐チャレンジしてみて、変化や得るものはありましたか?


「今の職場の職員さんは様々な経歴を持っていて、さらにそれぞれが得意なことを持っているスペシャリストが多いんです。コミュニケーションの機会を増やすことで、感じることや学ばせていただくことが多く、毎日が刺激的です。職員さんに教わりながら、今までやったことの無かったおやつ作りにもチャレンジしました、自分がケーキを作るなんで思ってもいなかったですね。不格好な抹茶のケーキでしたが、喜んでもらえて嬉しかったです。他にもパソコンで書類を作るとか、病院の先生や看護師さんと直接やりとりをするとか、家族様と関わるとか、デイサービスの相談員業務を兼務するとか、その中で利用者様の送迎をするとか、本当に多くのことにチャレンジさせてもらっています。」


「一番の変化は自分に自信が持てたことですね。対人関係が苦手で、自分にも自信が無かったんですけど、特養で10年働いた経験から、オムツのあて方を教えて欲しいと頼ってくれる職員さんもいて。自分の経験を教えて、それがうまくいったと感謝もされて。自分が持っていない部分を職員さんから教えてもらう機会だけでなく、自分も与えることができて、感謝してもらえるんだなって。あとは逃げずにチャレンジすることで得ることが多く、それも自信に繋がっています。

 一度、京福会を退職し、自分を見つめ直すために新しい世界に踏み込む機会はコロナに奪われてしまいましたけど、自分自身を見つめ直すために色々振り返り、考える時間を与えてもらいました。辞めてからの半年は自分自身に必要な時間だったのだなと思います。前の施設では自分がやらなくちゃいけないと抱えてしまい、自分で自分を苦しめていたように思います。職員さんとの関わり方を変えたことで、もっとまわりに甘えて、お願いしてもいいんだ、みんなの力を借りればいいんだって思えて、あの時よりも肩の荷が軽くなっています。」

‐‐最後にシンプルな質問になりますが、京福会に戻ってきて良かったですか?


「はい、戻ってきて良かったです。楽しいです、毎日。」



2023.4.15

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